海月雪(@Umitsuki_925)さんの活動2周年を記念した、歌ってみた動画のインスト音源制作・ボーカルミックスを担当しました。
ここでは依頼の経緯と制作の裏話を書きます。
依頼を受けた経緯
10月末、「活動2周年に合わせて歌ってみた動画を出したい、手伝って欲しい」と連絡をいただいた。
そこからどう進めるかは手探りだった。
連絡をいただいた時点で楽曲は決まっていて、当初はボーカルミックス部分のみ手伝う想定。
割と早い段階で、インスト音源の用意に難航。
権利まわり(著作権、原盤権)について説明して、公式のインスト音源は無断で利用できないことを理解してもらった。
「なんとかインストを用意しないといけない」ということで、
海月側からレーベルへダメ元で問い合わせ、既存の歌ってみた制作者にもインスト利用を打診した。
前者は許可が降りず。後者は納得いく形での取引が難しそうだったため断念。
最終的にはわたしから超簡易のデモを渡した。1「このクオリティで良ければ作れます」。
GOが出たので、インスト作成も引き受けることになった。
もともとインスト作成をやるつもりはなかった2。引き受けたのは、海月側の動きから「どうしてもこの曲で出したい」という本気度を感じたから3。
インスト制作を請け負ったはいいが、ギターロックものは初めての制作。
ドラム・ベース・ギター(2〜3パート)のオーソドックスな編成。
「そんなに大変じゃないだろう」と思っていた。
が全然大変だった(ギターが弾けない人間がエレキギター弾く音源を作ろうとしているんだから当然なのだが)。
「音程もリズムもわかる」のに「自分のギターの腕の問題で再現できない」という問題とずっと格闘する羽目になった。
インスト作成
原曲を聴きながら各パートごとに打ち込み/録音を進行。
先にも書いたが、「音程はわかるのに押弦が脳内で対応しない」「イメージできても指が動かない」で大変だった。
基本的にドラム以外は生演奏で制作。
ベースは録音と打ち込みのレイヤー。生のサウンドと打ち込みのタイトさの両方が欲しかった。
weeklyのノートによると、相談を受けた翌日には「打ち込みベースでは納得いくクオリティは出せない」と判断して5弦ベースを買いに行ったらしい。
(依頼を受ける前なのに、依頼料じゃきっと賄えなさそうなベースを買っている。おかしいね)
このタイミングで買った他の理由としては、バンドインストの打ち込みを試した結果がイマイチだったというのもある。
元記事へのリンク
音源制作依頼が来そうだったので打ち込みを試したのだが、ベースとドラムの説得力が無さすぎた&自分で弾いたエレキギターの説得力がありすぎた(下手だけど)。
下手なクオリティのソフト音源よりも下手な生演奏の方がいい結果になるという確信があった。
リモートでのボーカル収録
「レコーディングできる場所を借りて録りたい」という本人の希望で、レンタルスペースを利用。
録音当日は一人でレコーディングをこなしてきてもらった。初DAW&初レコーディング。すごい。
一人でも収録できるよう、無料DAWのLUNAをインストール・セットアップする会を事前に実施。
「起動してRECを押せば、インスト聴きつつRECできる状態のプロジェクトファイル」を渡した。
LUNAを選んだのは無料であること・Windows/Mac両方で動くことが理由。
LUNAの使い方はこの辺のYouTubeのチュートリアルを見てもらった。

Notionで事前に手順作って共有したりした
複数テイク入ったプロジェクトファイルをzipで送り返してもらった。LUNA上でテイク選別とタイミング調整。
LUNAでタイミング調整したのは、ARA対応のDAWでMTrackAlignを使いたかったから。
テイク選別後にLUNAから書き出して、Logic側に持っていった。
ピッチ修正についてはLogic ProのFlex Pitchを利用。
LUNAを選んだのはかなり正解だった。
プラグインを使わなければWindows/Mac間でそのまま受け渡せる。これがかなりよかった。
オートセーブ機能がある点もやさしい。
ボーカルミックス
ハモリやコーラスはすべてこちらで作成。
Flex PitchやVocalSynth2、SynthesizerV あたりを駆使して作成している。
本当はハモリも収録できる方が良いのだが、
- 依頼者が慣れない環境・慣れないDAWで作業すること
- ハモリ収録まで進めるのは負担が大きいと判断したこと
- こちらのツールで歌ってみたとして十分通用するクオリティを出せるという打算
この辺を踏まえてメインボーカルのみのデータの録音とした。
この読みは当たって、最終的なクオリティは想像以上だった。大変さも想像以上だった。4
きちんと声を張ったデータで、ピッチ補正にもよく耐えてくれた。
「音程は概ね合ってるし、気にしても音程ズレが直ることはないので、とにかく気持ちよく歌ってきてください!」と伝えたのが良かったのかもしれない。
音作りとか
ギターはすべてIbanez Q54 + Paradise Studioのアンシミュ。
当初はAmplitube5の無料版で完結させるつもりだったが、12月にUADからParadise Studioが出たので乗り換えた。
弾いていて気持ちのよいプリセットが豊富で助かった。
録音時はプリセットで。
ミックス段階でリバーブを切ってローを削ってあげた。
これだけでだいぶよい聞こえ方になったと思う。
ベースは生演奏オンリーでいけると思ったが、自分の腕では厳しいと判断。打ち込みとレイヤーした。
生ドラム音源は手持ちが少なく、特にスネアで悩んだ。
今回はMODO DRUMを使った。
素直に作って原曲並みのLUFSを実現できた。個人的にはよくできたポイント。
最後に
「大変だった」とばっかり書きましたが、めっちゃ楽しく作業できました。いいものができたと思う。
リスナーからも良い反応をもらえたので満足。
Footnotes
-
音声ファイル配置テストに上がっているやつ。 ↩
-
過去にはインスト作成を請け負っていたが、労力・時間・コストetc…を踏まえ「やってられん」と思った過去があるため。
今回の依頼を受けてみて単純に単価を上げればいいと気づいた。今は全然受付しています。 ↩ -
せっかく作るんだから既存の歌ってみたや原曲超えるくらいのつもりでやりましょう!というやりとりをした記憶がある ↩
-
せめてBのコーラス「La」「Fu」とオクターブ上のハモリは録るべきだった。
「大変だから」とか言わずに必要なパートはちゃんと録音しよう。 ↩